畜産物食品製造に関係の深い食品微生物の機能性解析
 

 畜産物発酵食品の製造には、種類によってスターターとしてLactobacillus属をはじめとする乳酸菌やSaccharomyces属などの真菌(酵母)などの食品微生物が広く用いられ、製造後の食品の豊かな風味や保存性に大きく寄与していることが知られています。ヒトとこれらの生物のかかわりは深く、有史以前より様々な発酵食品が利用されてきたことが多くの書籍などに記されています。近年になって、これらの食品微生物にはまだ知られていない多くの生体調節作用が報告されてきており、機能性食品素材としての有用性に多くの期待が寄せられています。

 

Saccharomyces cerevisiae 野生株
出芽している様子が見えます
(赤線の長さは10μmです)

 本テーマでは、このような食品微生物の新たな機能性について探索を行っています。 これまでに乳酸菌の産生する抗菌物質や免疫調節作用について報告を行ってきました。現在は、食品製造において重要な働きを担っていながら機能性の解明が遅れていた環境中より分離されれる酵母(野生酵母)の知られざる機能性について、様々な観点から研究を行っているところです。


 
食品のアレルゲン性評価に利用可能な機能性マスト細胞株の樹立
 

 畜産物の多くは高タンパク質食品であり、優れた栄養特性を備える反面、卵や乳は5大アレルギー食品に挙げられる食品でもあります。そのため、これらのアレルゲン性を軽減させるような様々な試みは、新たな機能性を追求する一つの手段となります。その評価の鍵を握る細胞の一つに、体内の粘膜層などに広く分布するマスト細胞(肥満細胞)と呼ばれる免疫細胞があります。
 食品接種後にすぐに発症するアレルギーの多くは、即時型アレルギー反応の一つの型であるT型アレルギー に分類されます。体内の免疫調節機能が何らかの原因でアレルギー原因物質(アレルゲン)に対してIgEと呼ばれるタイプの抗体産生に向かうと、この型のアレルギー症状が起きやすくなります。そのIgEとアレルギー反応を結びつける働きをもつのがマスト細胞であり、名前が示す通り細胞内に起炎症性物質の詰まった多くの顆粒を持っていることが特徴です。またマスト細胞の表面にはIgE抗体の結合する受容体(FcεRT)が発現しており、アレルゲンをIgE抗体を介して検知すると、顆粒内の物質を放出する反応(脱顆粒反応)を引き起こします。この顆粒内物質は体にくしゃみや鼻水などの応答を引き起こし、アレルギーを特徴づける症状をもたらします。

 マスト細胞を研究するモデルとして、マウスなどの生体から分離してきた細胞やガン細胞となったマスト細胞を用いることが広く行われています。これらは時に重要な情報を私たちにもたらしてくれますが、多くの細胞を入手するのが困難であったり、機能の一部が欠損していたりする場合があります。私たちはこの両者の細胞を細胞融合技術で結合させて雑種細胞(ハイブリドーマ)を樹立することに成功しました。この細胞は、マスト細胞の特性を持っているだけではなく、栄養があれば無限に増殖する力があります。この利点を活かし、食品のアレルゲン性を評価するツールとしての応用を目指し研究を進めています。

 

マウス骨髄由来マスト細胞


信州の地に根差した食品成分の機能性解析
 

 信州は、山々と豊かな自然に恵まれた長寿で知られる地です。その中には伝統的でありながら機能性の解明されていない様々な食品が存在します。私たちはそのような食材に着目し、これまで知られていなかった多くの機能性について明らかにしてました。
 本研究テーマは、その性質上、地域の様々な組織の方々との共同研究やプロジェクトを通じて成果を残してきました。現在は、平成23年度に地域資源研究所を立ち上げた木曽町と連携して、地域に眠る有用な食品素材の探索や機能性解析を進めています。今後もより幅広い視点でその機能性を追求し、信州発の研究成果を世界に発信することで地域に貢献できればと考えています。

 


信州といえば山!宝は山にある!?



とあるお茶の原料ですが、何でしょう?

 

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